当事者として

今回からチームX、チームMと分けた形でのブログをはじめます。

まずはXから更新です。

今回はメンバー兼運営の広実さんのブログをお届けします。

初めまして、FtX48メンバー兼ブログ担当の広実です。
一口にFtXと言っても、性自認は人によってさまざまです。私の場合は、男の自分と女の自分がそれぞれいて、その間を行ったり来たりしているような感覚。
今回は、そんな私がFtXとして体験したことをお話しします。

私がこの前まで通っていた高校は、一応市内トップクラスの進学校です。Twitterでよく、「自称進学校」といってネタになっているような高校を想像してください。
もちろん、クラスメイトはみんな常識のある人たち。特に私のクラスはまとまりがよく、私自身、自分のクラスが大好きでした。
教室に何人かが残って他愛ないおしゃべりをしていた、ある日の放課後。私は、女の子(仮にAちゃんとします)と男の子(Bくん)と3人で話していました。
そのとき、なんとなく男モードに切り替わった私は、本当にさりげなく、「俺」という一人称で話し始めました。私が学校で「俺」を使うのはそう珍しいことではなく、Aちゃんや他の友達は、当たり前のように受け入れてくれていました。だから、Bくんの前で「俺」と言っても、何の問題もないと思っていたのです。
ところが、Bくんの反応は、私の予想とは違いました。明らかに不審そうな顔をして、「俺!?」と驚いて私を見たのです。それは、はっきりとした拒絶反応でした。
それ以来、私は学校で男の自分になりたくても、意識して抑えるようにしてきました。その結果、自分がどんなふうに振る舞っていいのかわからなくなることも多々ありました。自分が今どこに立っているのかわからなくて、フリーズしたパソコンのように動けなくなるのです。

もう一つ、似たような事例を挙げます。
私の母は、高校教諭をしています。今まで、どんなに問題のある生徒でも親身になって寄り添い、正しい道に導いて来たような人です。
その母が、私が家で男口調で話しているのを聞いて発した言葉は、私にとっては衝撃的でした。
「そんなやくざみたいな言葉遣いやめなさい」
誤解を招かないように言っておきますが、そのときの私の言葉がとても乱暴だったわけではありません。ただ、クラスにいる男子が話しているような言葉をそのまま真似ただけです。
男子なら普通に話している言葉も、私が話すとやくざみたいな口調だと受け取られてしまう。理不尽だ、という思いが私の中であふれました。
英語圏の人たちがとてもうらやましい。一人称は性別に関わらず「I」だし、日本語のように文末が性別に左右されることもありません。日本語は豊かな言語ですが、こういう残酷な側面もあるのです。

さて、以上2つのエピソードから何がわかるか。
それは、一般人はおろか、いわゆる「知識人」と呼ばれる層の進学校生徒や高校教諭ですら、男女二元論と「らしさの概念に凝り固まっているということです。
常識人のはずのクラスメイトたちと母親。でも、彼らの「常識」の中に、私たち俺たちの存在は、組み込まれていないのです。仮に、頭ではGIDの存在を知っていたとしても、実際に目の前に当事者が現れるとは思っていないのでしょう。ましてや、男女二元論から外れたXジェンダーなど、彼らが知るはずもありません。
そこで、私はこう提案したいのです。私たちの活動目標は、「私たちの存在を『常識』にすること」ではないかと。
特別扱いを要求するわけではない。ただ、「知って」「受け入れて」もらう。簡単でないことはわかっていますが、それを達成したときには、きっと私たちがもっと生きやすい世界になっているはずです。

長々と失礼しました。Ft?48をこれからもどうぞよろしくお願いします。

 

広実さんありがとうございました!

 

これからもよろしくお願いします!

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コメント: 2
  • #1

    サク (月曜日, 18 3月 2013 16:58)

    初コメです。サクといいます。よろしくお願いします。

    どうやらFtXのようです。
    自分は何者なのか悩んでいる時にこちらのサイトにたどり着きました。

    ハッキリしなくて、なんとなくの感覚ですが前より少しだけ自分と向き合えるようになりました。

    勇気をもらっています。ありがとうございます。

  • #2

    広実 (日曜日, 24 3月 2013 01:22)

    サクさん、私のつたない文章にコメントをいただき、ありがとうございます。
    私の文章で、サクさんが自分と向き合えるようになったなら、とても嬉しいです。文章で人に訴える、という私の夢がここで叶いました。また私も、サクさんのコメントで書き続ける勇気をもらいました。
    これからも私たちの活動を見守っていただければ幸いです。本当にありがとうございました。